(34):トランプ

(c) Photo by Scott Eisen/Getty Images

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ncv_essays2017年1月21日順風満帆のスタートとは言い難い中でアメリカの第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任しました。

何故彼が選挙戦で勝利したのか、それは彼が放つ言葉は米国民の一部を代表する本音だからです。 

誰もメキシコ人の不法滞米者はもうこれ以上欲しくはないと思っている筈ですし、難民に混じってテロリスト達がアメリカ本土に上陸する恐怖は誰しも抱いている事です。

でもそれを公の場所で堂々と訴えれば槍玉に上がり自分の政治生命が絶たれる為口を噤み今まで誰一人としてそれらの問題を提起しませんでした。

しかしそれを正面切って言い放ったトランプ氏の発言は長い間抑圧され不満が限度に来ていた人たちにとっては彼は「ヒーロー」で、アメリカをもう一度豊かにしてくれるであろう救世主の様に思えたのでしょう。

彼の発言はまるで爆弾を抱えている様なもので、今流に言えば「空気が読めない」人なのです。 

彼の一言で株は乱高下し、街は猫耳帽子を冠った女性軽視を訴えるデモ隊で溢れ、難民やイスラム圏7カ国の出身者らの一時入国禁止を命じた大統領令に全米各地で抗議が広がり、司法省トップのイエーツ司法長官代行は大統領令を支持しないよう同省に命じたとの理由で職を解任されました。

とうとうこの原稿を書いている1月30日西部ワシントン州は難民の一時留め置きは「違憲」として大統領らを相手取り提訴に踏み切ると云う前代未聞の事態となりました。

彼が大統領になって僅か1週間でトランプ氏に対抗する動きは、政府内や地方州に拡大する異例の展開に発展しています。 

英国では、年内に予定されるトランプ大統領の公式訪英招請を取りやめるよう求める議会への請願書に130万人以上が署名しました。

この常に物議を醸し出す言いたい放題のトランプ氏を選挙戦の時にあれだけ居た候補者の誰一人として何故論破出来なかったのでしょう。

最初トランプ氏が大統領選に正式立候補したと聞いた時私は「エッツ、嘘でしょ」と鼻で笑ったのです。

どうせ直ぐに蹴り落とされるのだからと云う思いが恐らく大方のアメリカ国民の心にあり、まともに取り合わなかったのではないでしょうか。

ここではきりと申し上げておきたいことは、私は長年の共和党支持者であっても決してトランプ氏を支持している訳ではありませんし、彼の大統領としての資質や能力には全く期待はしていません。

然し乍ら国民が選び一旦国が大統領として認めた人であれば彼が今後どの様な舵取りをするのか、アメリカをもう一度偉大にするその手腕を今後の4年間でじっくりと見つめて行くべきなのではないかと思うのですが、アメリカ人は幼い頃から自分の意見を堂々と人に伝える様に教育されており、又 me first の国なのです。 

其れ故相手の意見が自分の理念や生き方と相容れない場合は抗議行動として発展して行くのではないでしょうか。

オバマ政権下で何故ロシアのプーチンがウクライナにちょっかいを出したか、中国が何故南シナ海にあの様な島を作ったか? 

これはオバマ大統領が何もしないと踏んだからで、アメリカが絶対実力阻止をしないと高を括ったからでしょう。

弱腰外交と揶揄されたオバマ政権とは一線を画す様にトランプが次々に出す大統領令や貿易摩擦に関する中国叩きが始まり、プーチンとの会議ももうすぐですが海千山千の強かな相手をどの様に手懐けるかトランプの手腕の見どころですが、仲良しクラブの面々ばかりを側近に置いた様な状態ではイエスマンばかり出てしまうのではないかと危惧して居ます。

世論調査で49%の国民が今回の大統領令を支持し、41%が反対を唱えており意見の対立が国内で起きて居ますが、それだけアメリカ国民がテロの恐怖に怯えておりそれは身近に迫った事として国や国民を守ると云う立場から何らかの対策を取るべきとの思いでトランプがとった政策だと思います。

Author: Ayako (綾子)

40年近いロスアンジェルスでの暮らしにピリオドを打ち、サウスキャロライナはグリーンビルにてリタイアするも、一年のうち、夏は、カナダのプリンスエドワード島へ、一ヶ月は日本へ、その他も、第二の故郷であるロスやヨーロッパなど、転々と落ち着きのない生活をしています。

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