(5): ひらけごま!

ncv_essaysヒトタビ海外へいけば、扉は自動ドアではありません!

日本では、いまやどこでも自動ドアが当たり前ですが、海外では、未だありえないほど重たい扉を開け閉めしなければなりませんし、回転扉というところだって少なくありません。この事実だけを書き起こすと、ひどく住み難い国だと思われるでしょうが、ところがどっこい、高性能でぜったい挟まれることもない自動扉が完備されている日本より、よほど外出しやすい海外のカラクリについて、本日はレポートしていきたいと思います。

障害者云々の前に、アメリカはそもそもレディファーストの国ですので、女性である限り、どんなに扉が重かろうとも、ほぼどこでも自動ドアみたいに、ジェントルマンが我先にと開けて下さるし、ましてや車椅子に乗っていようもんなら、恰幅のいいおばちゃんから、ヒールを履いたお姉様たちまで、誰かが必ず開けて下さるのです。

まさにその場に居合わせた、すべての人たちがヘルパーさんと化し、単独行動でも決して困ることはないのですし、これならば、わざわざ故障のリスクがある自動扉にしておく必要はないわな…と思った私でしたが、アメリカの大手百貨店や銀行などで、こんなボタンを発見!

 

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左端にある四角いボタン、見えますでしょうか?(c) Love

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コレ!(c) Love

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拡大してみると、こんなボタン(c) Love

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お店によってボタンの形状は様々ですが、かならず、どこかに車椅子マークの付いたボタンがあるんです!
こちらのお店なら、右端の青いボタンが ひらけごまのスイッチが!(c) Love

 

なんや、ぜんぶ自動ドアなんやったら、はじめから自動ドアにすればいいのに…

と、不思議に思った私でしたが、忘れてました、ここは紳士の国アメリカだということを!重いドアを開けるのは紳士の証なのですね。

これが日本だったら間違いなく、兄ちゃんもねぇチャンもじぃちゃんもばぁちゃんも、このボタンを乱用しまくり、指を挟んでしまったり、小さい子に怪我をさせたり…という事故につながるのが目に見えているから、最初から自動ドアなのでしょう。

しか〜しアメリカでは、1ヶ月という短い滞在期間でしたが、その間に、このボタンを障害者の方も、ましてや、それ以外のお客さんが使っているところを目撃することなく、帰ってきてしまいました。

縦長のボタンもありましたよ!

 

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でも、実際に、このボタンを押す隙は与えられないのが、アメリカです!

介助犬でも押せるように、ボタンの形状や設置の高さを考慮されているとのことですが、車椅子に乗っているだけでも放っておかれないのに、介助犬まで引き連れていたら、まちがいなく、ジェントルマンか、店員さんがにっこり微笑みながら、開けて下さるのですもの。

キスに夢中な恋人たちの傍をそーろっと通り抜け、やった!今日こそひらけごまボタンを試せるわ〜と思っていたら、あららキッスをも一時中断して、いち障害者にドアを開けてくれるジェントルマン文化はさすがです!

日本では、来月から「障害者差別解消法」が施行されるらしく、なにやら喜びムードなのですが、そもそも、この新しい法律とは、その名の通り「障害を理由として差別することを禁止する」というもの。公立施設や一般のお店など、日本のほぼすべての場所で適用されると恩着せがましく公表されているのですが、法律といっても、あくまで「解消法」なので「差別しないように心がけてくださいね」と勧めているに過ぎず、違反しても罰を受けるわけではありません。そんなことを、わざわざ法律にして頂かなくても、個人レベルの認識で十分ですわ。ほんまアホくさ!!

意外にも障害者を守る法律はアメリカよりも日本の方が早く作られており、1960年に障害者雇用促進法、1970年には、障害者の自立や社会参加などの基本理念を定めた、障害者基本法ができているのに対して、アメリカでは1990年に、ようやく ADA(Americans with Disabilities Act)という法律が確立したのですって!びっくりでしょ。

これによって、雇い主は、障がい者が働きやすいような設備を整えなければいけない、すなわち、公共の施設のバリアフリー化の義務化を定めたものなのですが、ただこのADAの前にも、1964年に障害者の人権を守もる Civil Rights Actという法律はあったことはあったようですが、法律の充実度は、日本の方が遥かに先を越していたのです。

にもかかわらず、未だにハード面はそこそこ整っていても、ソフト面では、アメリカの足元にもおぼつかないのは、文化の違いはもとより、やっぱりアメリカは人種のるつぼ! 違いがあって当然というところからスタートしているのが、大きく影響している気がしてなりません。

これだけみると、なにやってんだ日本は… と儚くも悲しい想いに苛まれますが、みんなの価値観や考え方が似ていて島国根性だからこそ、いわれなくても配慮があったり、エスカレーター式で優遇されたりと、日本ならではの良さやラクさは確かにあるのです。

それぞれにそれぞれの良さと欠点は、2つでセット。これは国も個人も同じだと思うのです!

欠点だけを排除することは、その良さをかき消すことにもなりかねません。

だから私は、できるだけ多くの違いや異文化に触れることで、自分の認識やビジョンを広げ、そこから得た材料で、思考力を磨いて、生きやすい環境に整えていくのがいちばんだと思うのです。

私という存在もまた誰かにとっての材料になり得るんじゃないの?!なーんて都合のいい解釈をして、大迷惑は承知の上で、あっちゃこっちゃと出かけていくのかもしれません。

たとえ「ひらけごま!」の魔法が効かないようなところでも!!

Author: 大畑楽歩

「奇跡のラブちゃん」と、各メディアで騒がれたこともあるが、いまだ脳性まひとも仲良く共存中。もうすぐアラフォーにさしかかろうとしているが最近、念願のドラムセットを手に入れ、ラブの好奇心とハッピーライフへの貪欲さはトドマルところを知らない。電動車椅子ユーザーの割にフットワークは軽く、ふら〜っと海外へエスケープしちゃう癖もある。

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